人間って楽しい。なんらかの障害、疾病を持つ人・高齢者・エライ人もみんな平等
都城市
看護士の経験を生かし、介護の事業所を設立。利用者のニーズに沿った取り組みをすすめて、さらなるステップへ突進中。
美容師になりたかったが、父に言われ、嫌々看護師になりました。資格は取得しましたが学校を途中で辞めて、関西へ。そこで看護師として働きだしました。仕事を続ける中で次第に責任者を任されるようになり、訪問看護ステーションの設立も経験。
離婚を機に、故郷の山田町に帰って来たのが平成12年。介護保険制度が始まったばかりの時期でした。これからの仕事について考えた時、利用者と一対一で向き合うことで相手の喜びがダイレクトに伝わってくる満足感を訪問看護の仕事で感じ、介護の事業所を設立しようと決めました。
「企業組合」を創設するのに必要となるのは出資者4名と出資金8万円で、他の形態より無理なく始めることができます。
あまり耳慣れない事業形態で設立できたのは、福祉関係の新聞記事を目にしたことがきっかけ。ヒラメキを大事に「イノシシのように興味あることに突進していく」という思いで、すぐに新聞社に問い合わせ、県の中小企業団体中央会に向かいました。
平成13年3月、「居宅サービス大地」誕生。中央会から起業に向けたサポートを受けたおかげで、創設の不安はありませんでした。
開業当時は看護師のヘルパーが珍しく、ケアマネージャーが「看護師の資格を持つヘルパー集団」と広めてくださいました。また、「介護は利用者本位であるべき」という企業姿勢が口コミで評判を呼び、契約数は順調に増えていきました。
床やじゅうたんを貼ったり、もらってきた机を塗ったり、デイサービス用の机をつくったり…と事務所の備品はほとんど手作り。3人で始めたヘルパー事業から徐々に、患者輸送事業、デイサービスと業務を広げていきました。その後都城市高崎町へ移転、デイサービスと有料老人ホームを中心にスタッフ30名が業務に携わっており、現在48名の方が利用されています。
デイサービスでは、レクリエーションや入浴をしてのんびり過ごします。
有料老人ホームでは、家族の急な外出やリフレッシュする時間のための介護保険外の宿泊を受け入れるなど、利用者のニーズに沿った取り組みを進め、また国民年金などの低所得者の方でも家族の経済的負担が大きくならない様、低料金で入所できるよう図っています。
続けることができた秘訣は、“介護保険のあらさがし”とつぶれた時に大損をしないよう“自分のできる範囲を知っておく”こと。始めた以上はがんばらなければと思いながらも毎日が自分自身との戦いです。
そんな中、「人間って楽しい。病気・高齢者・エライ人もみんな平等」だと感じています。出会いの中からパワーや知識をもらっています。また、一生懸命に取り組んでくれるスタッフが楽しみで、励ましになっています。若いスタッフに体力的にも精神的にも負けないよう、意見をぶつけ合いながら毎日パワーアップしています。
起業の理由のひとつは、「母子家庭だから、自分が上に立てば、こどもの都合に時間が自由に合わせられる」と思ったことでした。けれど、うまくはいきませんでした。当時は忙しくて2人とも家にほったらかしでしたが、子どものことはよく見ているので、子どもが何を考えているかわかっていました。とても素直に育ってくれました。これまで2人の理解と協力があって仕事を続けられました。
また、日頃から「何事にも目立ちなさい。人の目が向く、神様も向く、運も向く」と言っていましたが、息子から「リーダーは責任もあるけどやりがいもあって、楽しさがわかってきた。」また、「仕事がんばって。無理しないで。」と言われたことがあり一番うれしかったです。ともに相手を見合い、ともに成長してきました。現在、息子と一緒に働き、娘は看護学校へ通学しています。最近になって、「お母さんはいつも仕事で忙しく家にいなかった。寂しい日が多かった」と子どもが愚痴をこぼすことも・・・・。
大型バイクの免許を取り、「大地」の旗を立てて、息子とスタッフと一緒に走りたいと思っていましたが、昨年念願の息子との北海道一周をしました。この時に精神を鍛えられたような気がします。
現在も「居宅サービス大地」の代表理事として勤めています。無我夢中で走ってきて15年が過ぎました。年齢や体力の衰えを感じ、体を休める時はゆっくり休むなどリフレッシュをしっかり行っています。大型のバイクで遠出をしたりと、精神面で強くいられる様に心がけています。
大きい夢はもてないが小さい夢はいっぱい。一つひとつ利用者及びスタッフのニーズに合わせ、自分自身も楽しみながらやっていくつもりです。これからも日々、勉強です。
好きな事をやる時は、ストレスはたまらない。それが仕事であっても。そう最近感じるようになりました。
家庭も大事です。両立は大変難しいですが、主婦になりきらず、一人の女性(人間)として、はばたいてほしい。たった一度の人生ですから、輝いてほしい。
(私自身に言い聞かせている事かもしれません)
この方と直接会って、経験談やアドバイスを聞くことができます。