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すべての出来事が「私」をつくる糧

清水 鈴代さん面談可
国立大学法人宮崎大学 清花アテナDEI推進室 副室長

鹿児島県鹿屋市出身。大学卒業後、「株式会社シンクタンク宮崎」入社のため宮崎へ。第三セクターだった同社が経営不振により閉鎖となり、その後宮崎県男女共同参画センターを運営する「特定非営利活動法人みやざき男女共同参画推進機構」に入職。
現在は「宮崎大学清花アテナDEI推進室」でダイバーシティ推進の活動を行っている。

現在の仕事に就いたきっかけを教えてください。

今の職場は3つ目の職場です。前職で第二子を妊娠し12月に出産。年度末に向けての繁忙期だったため、「職場に迷惑をかけてはいけない」という勝手な思い込みから産休取得後すぐ職場復帰することにしました。でも、子育て2回目とはいえ、赤ちゃんがいる生活は思った以上に大変で、生活と仕事のバランスがうまく保てなくなってしまいました。そのため、上司に相談し退職を決意。おかげで生活のリズムを取り戻すことができましたが、出産後の働き方についてもっと周りに方に相談すればよかったと感じた、私にとっては苦い思い出です。

その後しばらくして再就職を目指していた折、「特定非営利活動法人みやざき男女参画推進機構」で働いていたときにお世話になった方から「宮崎大学で女性研究者支援に関するプロジェクトのスタッフを募集しているようだ」と教えていただいたのが今の職場に出会うきっかけです。当時、女性研究者を支援するという課題にあまり馴染みはありませんでしたが、以前から男女共同参画推進に関する仕事に携わってきたこと、「株式会社シンクタンク宮崎」で働いていた頃に宮崎大学の先生方と一緒に仕事をする機会があったこともあり違和感なくチャレンジできました。

  • 1992年 鹿児島県立鹿屋高等学校卒業
  • 1992年 広島大学総合科学部総合科学科入学
  • 1996年 同校卒業
  • 1996年 株式会社シンクタンク宮崎 調査研究員
  • 2001年 第一子出産
  • 2005年 特定非営利活動法人みやざき男女共同参画推進機構 職員
  • 2007年 第二子出産
  • 2009年 宮崎大学清花アテナDEI推進室(旧宮崎大学清花Athenaサポート室) 副室長

現在の活動の内容を教えてください。

宮崎大学では男女共同参画を中心としたダイバーシティ推進に関する取組みに携わっています。
当初は女性研究者の比率向上と働きやすい環境づくりが主な目的でしたが、女性研究者だけでなくすべての教職員にとって働きやすい環境を作ることが組織全体の活性化につながるという観点で取り組みを広げてきました。
具体的には、教職員を対象とした支援制度の運用、意識啓発の実施に加え、女子高校生を対象としたイベント、本学講座の実施・コーディネーターなど多岐に渡っています。
出産や育児などのライフイベントにまつわる相談への対応や両立支援制度の運用にも携わっていますが、私自身の過去の失敗も教訓にしながら丁寧に対応することを心がけています。

また、自治体等と連携し地域におけるダイバーシティ推進に関わらせていただいたり、九州・沖縄地区の大学間ネットワーク「九州・沖縄アイランド女性研修者支援ネットワーク(愛称:Q-wea)を通じて、地域全体の意識醸成や環境整備に向けた情報共有を行ったりする機会もあります。

2024年に実現したアイスランド視察はどうでしたか?

ジェンダーギャップの解消を含むダイバーシティ推進に関わることは、私のライフワークのひとつになっています。働き始めて30年近く経過し、少しずつ法律が変わり制度も充実してきましたが「男性とは」「女性とは」といった無意識の思い込みから生まれる生きづらさや働きづらさがなかなか解消されないもどかしさを感じています。
宮崎でドラスティックな変化を生み出すには何が必要なのか?と考える中で、世界でもっともジェンダーギャップが解消されている国にヒントを得ようと、2024年5月に仕事で出会った有志とともにアイスランドを訪問することになりました。

世界経済フォーラムが発表するジェンダーギャップ指数で長年1位を保っているアイスランドでは、行政、市民活動団体、民間の業界団体、保育園などを訪問し、様々な方のお話しを聞くことができました。もっとも印象的だったのは、多くの方が「ジェンダーギャップ指数1位でも、性別間の不平等がすべて解消されたわけではない。だからこそ不平等を取り除くために努力する必要があるのです」とおっしゃられていたことです。ジェンダーギャップ指数の低い日本とは課題に向き合う本気度が違うと痛感しました。
でも、そんなアイスランドも約50年前はジェンダーギャップがはびこっていて、1975年に起こった「女性の休日」という大規模デモをきっかけに大きく変化したのだとか。

もちろん、文化的な背景や歴史が異なる日本でアイスランドと同じ方法でうまくいくとは限りません。世界1位の現場を見てきた者の役割として、日本だからこそできるプロセス、方法を模索し、実現していかなければいけないと思っています。
そして、アイスランド視察を経て感じているのは、私たち一人ひとりが疑問に感じたこと、おかしいと気付いたことについて声を上げる重要性です。
ジェンダーギャップの問題は、「男女の違い」だけでなく、同性であっても、「働いているか働いていないか」「どんな働き方をしているか」など立場の違いや、世代の違いで分断が起きてしまうこともあります。違う部分だけに目を向けて対立するのではなく、違う部分があってもお互いを尊重しながら、知ろうという気持ちを持つ。そうしたゆるやかなつながりを生み出していければいいなと思います。

これからやっていきたいことを教えてください。

2023年7月から部署の名称が「清花アテナ男女共同参画推進室」から「清花アテナDEI推進室」に変わりました。これまでの男女共同参画推進に加え、セクシュアル・マイノリティや障がいのある方など、さらに多角的なダイバーシティに対応することが求められてのことです。そうした要請を踏まえ、学内の関係部局と連携しながら、教職員・学生一人ひとりが安心して働き学ぶことができる組織として環境を整えることが現在の課題です。
学生と話していると、価値観が多様化していると言われる若い世代にも「バリバリ働くのは男性」「家事・育児は女性の役割」といったアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)が残っていると感じることがあります。そんなときは具体的な事例や客観的なデータを示して「どう?」とたずねると、自分の未来を左右することと捉えてくれます。また、アイスランド視察に関しては講演等でお話をする機会も複数いただくようになりました。

これからの宮崎のジェンダーギャップ解消に向け、様々な場面で「当たり前」だと思っていたことを見つめなおせるような、社会が変化する火種になるような機会を学内外で作っていきたいです。

これから社会に参画される女性の皆さんへのメッセージ

生きていると思ってもいなかったような出来事が起こります。もちろん、それはうれしいことや楽しいことだけでなく、つらいこと、悲しいことの場合もあります。
また、初めての挑戦に対しては「私にできるかな」「乗り越えられるかな」と不安な気持ちにもなります。ネガティブな出来事や感情の真っただ中にあるときは気づきにくいものですが、人生の出来事やそこに生まれる感情は、どれをとっても無駄なものはないと思います。
大切なのは、「こうあるべき」という思い込みにとらわれず、自分の「こうありたい」を描くこと。一つひとつの出来事や感情が「私」をつくる糧だと信じ、周りの人とゆるやかにつながりながら自分の一歩を踏み出してください。

国立大学法人宮崎大学 清花アテナDEI推進室
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